Ma.K. NIXE ニーゼ完成~撮影しました!

Ma.K.ノベライズ小説化「the SNAKE EYE story」 第4章 Festa ~祭~

Ma.K.ノベライズ小説化「the SNAKE EYE story」 第4章 Festa ~祭~

第4章 Festa ~祭~

カイは飲めない酒を煽った。
そしてあの墜ちてきた男を遠くから睨みつけていた。太鼓と笛、ラッパの音が朝からずっと続いている。年に一度の村の祝祭にあの男クロウが呼ばれていること自体が気に食わなかった。
村人たちはあんな余所者をなぜ受け入れているのだろうか。空から降ってきた氏素性もわからないあの男が楽しげに祭りの輪に加わり旨そうに酒を飲んでいるのを見るといらいらした。村の娘たちも宇宙からやってきたというだけでやたらとあの男のことを話題にしていた。
もっと面白くないのは診療所でアンといまだに同じ屋根の下で寝起きしていることだった。アン先生はあいつがまだ予断を許さない状況だというが、酒を片手に踊っている姿を見るとすっかり回復したように見える。あんな奴は早く村を出て行けばいいと考えていた。
しかし、まぁいい。今日はあの男に一泡吹かせてやる。
酒をみつめながらカイが思い出しているのはクロウが落ちてくる三日前のことだった。
アンとの事だった。
あの日カイは畝作りを終え、アンを夕暮れの橋の袂に呼び出した。欄干に掴まりながらどうでもいい話を延々としてしまった後、彼女に自分の好意をはっきりと伝えた。
「わたしは医師として一人前にならなくちゃいけないの」
アンの返答だった。
カイにはアンの言葉の意図するところが全くわからなかった。医師としてやっていくことと自分の想いになんの関係があるのだろう?
カイはその答えを、単なる時期的なものと考えて自分を落ち着かせた。アンが突然すぎて今はまだ想いを受けることができない、ということだと。

また酒を煽った。こんなまずいものをどうして皆あんなに旨そうに飲むのかわからない。酒の入った陶製のジョッキを握りしめていると橋の向こうからアンがやってきた。
目を奪われた。
アンはいつもズボンなのに今夜は真っ白なスカート姿だった。そのスカートが目に痛いほどに白く、風にそよいでいた。
カイは自分でもわかるほどぎこちなくアンに挨拶した。
「よ…よう」
「こんばんは。今夜はいい風ね」
そう言ったアンの首筋が透き通っていて血管が見えた。
「め…珍しいな。アン先生がスカートなんて」
アンはちょっと自分の姿を見るようにして、わたしだってスカートくらい履くのよ、と言って少し照れたように笑った。夕日に映えたアンの赤毛が燃えるように美しかった。
カイはアンの輝くような笑顔に気後れした。

そのとき村人から大きな歓声が上がった。いつの間にか、クロウとドナンが酒樽を使って腕相撲をしていた。
「あのバカ!」
アンの横顔がみるみる紅潮していく。
「傷が開くわ!お酒まで飲んでる!」
わっと村人から声が挙がった。
腕相撲はドナンが優勢だったが、クロウがドナンの脇をくすぐって力が緩んだその瞬間に一気呵成にドナンを負かした。
反則だったが、けが人のクロウを多めに見てか、村人は笑っていた。
クロウは腹が痛むようで身を屈めて、片腹を押さえながらもう片方の手を審判役の村人に持ち上げられ勝ち名乗りを受けた。大番狂わせに村人が盛り上がる。
怪力自慢のドナンが猛抗議をしていた。クロウはすぐにドナンの腕力は宇宙広しといえどもかつて見たことがないと大声で言った。
自分は汚い手を使うしかなかった、そう言ってドナンの腕を見るからに重そうにして、両手で大袈裟に持ち上げた。村人から敗者を讃える拍手が湧き、ドナンは溜飲を下げて満足そうに頷いた。
アンはカンカンに怒っているようだった
そこへ村の娘のひとりがクロウに近付き、頬にキスをした。村人から一際大きな歓声が響いた。
それを見たアンは眉を釣り上げ、真っ赤な顔で村人の輪の中心にいるクロウに突進していった。

ざまあみやがれ。
クロウはアンに徹底的に怒られている。その様子を小気味よく眺めていたカイの元に仲間たちがやってきた。
「ギベオンの様子はどうだ?」
「朝から酒かっ喰らってへべれけだ」
カイは酒の残ったジョッキを欄干に置くとギベオンのガレージに向かった。
地雷に気を付けて進むとガレージの扉は仲間たちがすでに開けていた。「こんなとこでなにするんだ?」
「いいから見てろって」
カイは先日のギベオンのやっていたことを思い出しながら、工具をいくつか引っ張った。何個目かで手応えがあった。
壁が動き始め、奥から光りが漏れてきた…。

クロウはアンにさんざん怒られたあと大人しくお茶を飲んでいた。娘たちがクロウと村人の話を熱心に聞いている。記憶がないのによくもまああんなに話題があるものだとアンは半ば呆れ、半ば感心した。
クロウがガスクのモノマネをしたときはアンも思わず笑ってしまった。よく似ている。ガスクは向こうで飲んでいるが気付いていない。
アンは自分が酒で顔が赤くなっているだろうと思いながら久しぶりの楽しいだけでいい時間を過ごしていた。
そのとき遠くで爆発音がした。
村人が音のする方角を一斉に見た。音楽は鳴り止んだ。ギベオンのガレージの方角だった。かすかに煙が上がっているようだ。クロウと村人の何人かが立ち上がり、音のした方角へ走り始めた。アンも走り始めた。
ガレージに横穴が開いていた。
そしてガスクが地雷原だと言っていた場所にスネークアイが転がっていた。ハッチが跳ね上がっていてコックピットからカイの顔が見えた。ガレージの穴からはカイといつもつるんでいる面々が見えた。
「助けてくれ!」
カイが叫んだ。
スネークアイは寝転がったまま歩く動作を繰り返している。さっきの地雷爆発で地面に黒い穴が開いている。
スネークアイは地雷を踏んだときに転んだようだ。スネークアイの動きに合わせて機体の位置が少しずつ動いていく。
「ありゃあ地雷に当たったらカイの頭が吹っ飛ぶぞ」
遅れてクロウとガスクがやってきた。
「ギベオンは?」
アンが聞くとガスクは首を横に振った。
「朝からしこたま飲んどる。まったく役に立たん」
地雷原ではスネークアイに近付く訳にもいかなかった。クロウは走ってきて腹が痛むようで汗が噴き出していた。
しかし、次の瞬間、クロウは猛然とガレージに入っていった。アンも付いていく。
ガレージに入ると若者たちがおろおろしている。
「なにしてるの!」
アンは一喝した。
クロウはガレージを見渡して、壁板を一枚外せと叫んだ。
「早くしろ!」
若者たちは訳も分からずクロウの指示した壁板を一枚外した。4mくらいはあるだろうか。クロウは次に作業台の上にあったバーボンの空瓶と図面を腕で撫で落とした。若者たちにガレージに開いた穴のところまで作業台を運ばせた。そしてそこからスネークアイまで橋を渡すようにして先ほど外した壁板を伸ばした。
クロウは作業台側に置いた壁板を動かないように押さえるよう言って、その壁板の上に乗った。そして自分が機体まで行けたら板を外して避難しろと言った。
壁板の幅は30センチくらいだろうか。スネークアイが動いているせいで板がひどく揺れる。その上をクロウが歩いていく。
板がたわみ、地面に触れそうだ。もし触れたそこに地雷があれば吹き飛ぶ。
「クロウ!」
思わずアンは叫んだ。
ふらふらしながらもクロウはスネークアイに取り付いた。
「大丈夫か!?」
カイは泣いている。
「たっ…助けてくれ」
「よし!いまからハッチを全開にする。そしたらなんとかそこから這い出て機体の右腕に掴まれ」
「じ…地雷が!」
「わかってる!そこから出て右腕に掴まる。いいな?」
クロウがパネルを操作してハッチを開いた。このときに地雷に触れれば二人ともおしまいだが、爆発はなかった。好運だった。
カイがほとんど号泣しながら、地面に触れないようにして機体から出てきた。入れ替わるようにしてするりとクロウがスネークアイに入った。クロウ自身が驚くほど簡単にコックピットに入り込んだ。
カイはスネークアイの右腕にしがみついた。クロウはハッチを閉めた。そしてスネークアイは左腕のレーザーを杖のようにして慎重に立ち上がった。
スネークアイが動いていたせいでガレージから10m近く離れてしまった。スネークアイはその場でカイを抱きかかえるようにして両腕を寄せた。
ぐっとスネークアイが踏ん張るように沈み込むと次の瞬間、背中のスラスターが火を噴いた。
あっという間にスネークアイが宙を飛んだ。
見上げる村人たちを避けるようにして大きく弧を描いて、祝祭会場に着地した。
アンはまた走ってスネークアイの元に向かった。
カイは顔を涙やら鼻水でぐちゃぐちゃにして地面にへたりこんでいたが無事だった。
スネークアイが立ったままハッチが開いた。中から覗いたクロウの顔は蒼白で、意識がなかった。

その夜、カイは家に閉じこもった。
何人かの娘たちがクロウの見舞いに診療所へ行ったがアンに面会謝絶と言われたと聞いた。
娘の一人はアンがクロウを独り占めにしていると不満を漏らした。
そのとき聞いてわかったが、あの男は腹の傷を縫っていた糸が切れてしまい、出血が止まらなくなって緊急手術になっているらしい。
カイにはよくわからないがひとりで手術をするというのは大変な事らしい。アンが必死で手術している様が目に浮かぶようだった。
母親が泣きながら村の皆に謝っている姿を二階の自分の部屋の窓から見ていた。

to be continued 第5章 27 & 57

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